私は目の前にある貯金通帳の中身を確認し、深くため息をついた。『医者は金持ち』なんて誰が言ったのだろう???薄給な研修医生活。どう考えても割に合わないような気がする。私は医療の現場に出て二年目の新人医師で(厳密には『研修医のくくりに入れられているから医者とは言えないかもしれないが)、その研修医である私がもらう給料は、他の医療現場のスタッフの半分以下だ。本当に医者はもちろんの事、看護師や薬剤師よりも少ないだろうと思う。それでも覚えなければならないことも、仕事も(ほとんどが雑用だが)てんこ盛りで、遊びに行く時間さえない。どんなに少ない給料であったとしても遊びに行く時間がないのであればお金がたまるのが道理というものだろう。
お化粧品も欲しいし、服を買うのにローンを組む自分。分割払いが増えるばかりです。学生時代のほうが裕福でした。ストレスは疲れや買い物で消化する日々。通帳にたまっている金額は普通の若い女の子がためられる金額にもほど遠く情けない限りです。給料の殆どは、生活費にしか使えない。
「どうしよう……これ……」
はっきり言おう、使い道がないお金は邪魔なだけ。という日々を過ごしてみたい。この通帳の中身を見る度に、「私はなんで働いているのだろう???」と思う。医者となり、医療の現場に出て多くの人の命を助けるという仕事はやりがいがあるし、それなりの夢や希望は持っている。だが、それでもたまにむなしくなってしまう。働いて、働いてたった一人で人生を終えてしまうのかと思うとむなしいを通り越して、悲しくなることさえある。
私は何のために働いているのだろう????